シンブル(指ぬき)というシンプルな用具が大活躍する世界…!
シンブル・マニピュレーション…これぞまさに「指先の芸術」!
カズ・カタヤマ氏による「ステージ・サロンマジック入門講座」第10巻。
今回は「本格スライハンド シンブル編」です。
このシリーズも、いよいよ終盤戦に突入。
残すところ、今号を含め、あと3巻となりました。
ステージ・サロンマジックの「本格的な入門講座」をお届けしてきているわけですが、本格的なステージ・サロンマジックといえば、やはりマニピュレーションであり、スライハンド。
王道であり、核心・本丸でもあります。
ステージ・サロンマジックを本格的に学ぼうと思ったら必要不可欠な、このジャンル。
シリーズ終盤では各種マニピュレーションを順次、じっくりと取り上げて、攻略していく予定です。
まず今回は、「シンブル」を取り上げます。
「シンブル」と聞いて「待ってました!」とおっしゃる方もいらっしゃるでしょうが、逆に「うーん、やったことないからなぁ…」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
まずご安心いただきたいのは、本講座は「入門講座」ですので、初めての方にも分かり、できるように、基本中の基本、初歩の初歩からきちんと説明しています。
また一方で「本格的な」入門講座ですので、最終的にはかなりの本格的な「高み」に到達できるようにも意識しています。
「初めてだけれども少しでも興味のある方」でも十分に手が届き、「既に相応にシンブルを手掛けられ、かなりの知識のある方」にご覧いただいてもご満足いただける…
そんな内容に仕上がったものと、自負しております。
これまでシリーズとして順次ご覧いただいている方ですと、「シンブルだけでDVD1巻分」というのは、だいぶ内容として絞り込まれ過ぎている感じを持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、シンブルというのは、十分それに応え得るキャパシティを持った、豊穣で奥深い「素材」であり「ジャンル」なのです。
これを研究せざるして、ステージ・スライハンドの世界は語れません。
これまで、さほどシンブルに興味がなかった方、触れる機会のなかった方も、ぜひこの機会に、ご覧いただき、実際にやってみてください。
きっとあなたも、シンブルの魅力に取り憑かれ、気が付いたら、いつしか「シンブル・フリーク」となっていること請け合いです。
もちろん、そもそもシンブルが好きな方、また、既にある程度の経験者の方にもオススメです。
シンブルだけでまとまった資料になっていますので、総合的な知識が得られます。
また、後述しますが、いくつかの点で画期的な試みをしており、専門家ですら参考になるはずです。
この「ステージ・サロンマジック入門講座」シリーズの商品説明としては繰り返しになりますが、別に全巻を揃えて通しで見ていただかなくでも、単巻で個別にご覧いただいても良いように作られています。
特にシンブルに興味がある方は、ピンポイントで今号だけご覧いただいてもまったく問題ありません。
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さて、では、ご存じの方が多いとは思いますが、一応は基本の説明から。
「シンブル」って何?という方も、中にはいらっしゃるでしょう。
基本的には、指先にはめるキャップ状の用具です。
人差指にはめて示し、これを反対の手に握り取って、手を開くと消えている…
そんな「一番の基本となる動作」は、たまに初心者向きのマジック解説本などにも出てきます。
さらにそれが、分裂・増加したり、両手の間で移動したり、変色したり…様々な現象が起こり、片手に4本、親指以外の4指にすべてはまって現れたり、さらには両手で8本となったりする場合も。
特に「指先にはめて示す」点が、この道具の最大かつ最も基本的な特徴です。
「シンブル」は、例えば「学生マジック」の世界では「花形種目」の1つとなっています。
「ステージ・スライハンド」としてのシンブルです。
人気があるんです。
人気があるのは、もちろん、それだけの理由があります。
カッコいいんです。憧れなんです。
マジックのクラブ・サークルで、先輩の流麗でカッコいい演技、シンブル捌きを見て、シンブルが好きになった方、先輩が好きになった方、いろいろいらっしゃると思います。
…先輩のほうはともかく、シンブルは、マジックとして大変優れた素材でもあり、研究しがいのあるジャンルです。
そもそも元をたどると、「シンブル」は「指ぬき」と言われる裁縫用の道具に由来するもので、英語では "thimble"。
これは一般名称として、普通に「指ぬき」のことを指しています。
縫い物で、針を刺す時に末端を下支えして、力を入れやすく、また手を傷めないようにするための器具。
日本では和裁用の指輪型の道具が主流となっているため、キャップ状(釣鐘型)のものにはあまり馴染みがありませんが、欧米等ではそちらが主流で、よく見かける「日常品」なのです。
また、結婚のお守り、女性に幸せをもたらすアイテム、といったニュアンスから、実用品としてだけでなく装飾品、コレクターズアイテムとしても作られているようです。
ですから海外では、マジシャンが取り出してきた時に「それは何?」「シンブルだよ」で説明が足りてしまうのですが、日本では別の説明を考えるなど、工夫した方が良い場合もあります。
ただ、これは必須というわけではありません。
「何であるか」が分かっている方が見ている側も安心(分かりやすい)、という側面は当然あるものの、「何だかわからないけれど『指キャップのようなもの』を使って不思議なことを見せてくれた」という話で、マジックとして十分成立はしています。
説明をすることはマジックの本旨ではありませんので、そのために演出が長くなってしまうなど、弊害がある場合は、あえて説明しない選択もあり得ます。
特にステージでのサイレントアクト(喋らずに音楽にのせて行なう)の場合は、この手の「説明」を上手く観客に伝えるのは至難の業。
それゆえ「学生マジック」等ではもはや「無定義用具」として扱われていますが、これはなにも観客が知っている人ばかりだから、というわけでは、必ずしもありません。(演者の家族や友人を呼んでいる場合、その観客は、おそらく「知らない人」でしょう)
ある意味「開き直り」ではあるのですが、要は「指にはめて手品を見せるための道具」である…という道具の「解釈」であり、それが一種の「説明」なのだ、と言い換えても良いかもしれません。
かつて「歯磨き粉のキャップ」だと説明しているマジシャンを見たことがあり、それはそれでなかなか面白いとは思いましたが…まぁ、やり過ぎは禁物でしょう。
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ところで、今回もカタヤマ氏のことですから、シンブルを主眼に据えるにあたって、
何をどこまで、どのように教えるか、相当に考え抜いた上で構成を考え、撮影に臨まれました。
結論から言いますと、独自の手順(流れ)を、新たに4手順、用意されてきました。
しかも、その4手順を繋いで演じると約5分以上の長い「ルーティーン」となる構成です。
ちなみに、これほどの先生は、なかなか、そうそういらっしゃいません。
そうは思いませんか?
単に知っているものを知っている通りに教えるのではなく、そこでまた、考え抜いて、ご自身も新たなチャレンジをされているのです。
「シンブルだけで5分以上」というのは、考え方にもよるでしょうが、
これは相当に「長い演目」です。
もちろん、長く演じることが必ずしも良いとは限らず、短い方が良い場合もありますが、個別の「4つの手順」はそれぞれ単独でも活用できるように作られていて、ショートバージョンで行きたい場合は、そのどれかを演じれば良いのです。
また、本当の初心者の方でしたら、4つのうち、最初の「手順」が一番簡単で、まず、それをある程度きちんと演じられるようにするのが第一段階と言えるでしょう。
最初は、そうやって1つ1つを丁寧にマスターしていっていただきたいのですが、少なくとも1つの「手順」をブロックとして覚えれば、その段階で演技にかけられるということです。
そして最終的には、4手順を合体させた「ルーティーン」が演じられることを目指して欲しいのです。
「学生マジック」や「マジッククラブの発表会」などでは、内容的な「かぶり」を避けるため、大抵は「演目」で縛りをかけます。
そして各演者は、持ち時間をこなすために、ある程度、場を「もたせる」必要があって、個別の演目だけでの演技が、ある程度長くなりがちです。
また、独演会ほどの長いショーを演じる場合も、同じ考え方が援用されるでしょう。
各パートをそれぞれ長めに設定しないといけなくなります。
そういう実際のニーズがある場合には、長い演目を持っている必要が、当然あります。
そうでない場合、個人的な意見では、「5分、何かやってくれ」と言われたら、
1つの演目で攻めるのではなく、バラエティを考えた方が、ウケは取りやすいでしょう。
変化があって、観客の注意がそがれづらいからです。
5分のシンブル演技は、もしかしたら必要ないかもしれません。
それでも、ステージ・サロンマジックに「本格的に」入門されよう、という
本講座をご覧の皆様には、5分の手順の練習を、ぜひお勧めしたいと思うのです。
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シンブルだけで5分演じ切る、というのは、それ自体が1つのチャレンジ。
人は挑戦によって成長するとは、真実です。
カタヤマ先生ですら、チャレンジされていることを思い返してください。
1つの素材で時間を持たせようとすると、エフェクト的なバラエティも重要となりますが、その点は、カタヤマ氏の手順組みにお任せして良いでしょう。
ですが、それ以上に重要なのは、演技力です。
いかに観客を引き込み、面白く見せるか、ということ。
ただ単に「手順を流している」だけでは、飽きられて当然とすら言えます。
5分という時間を、シンブルだけで、観客を飽きさせずにショーを支えきれるか。
観客の興味を繋ぎ止め続け、楽しませ続けられるか。
これを行うには、演者・パフォーマーとしての技量・力が必要です。
DVDに収録されているカタヤマ氏の演技をご覧いただければお分かりだと思いますが、当然ながら、氏は、それを難なくこなしています。
「こなす」どころか、とても魅力的な演技で、引き込まれると思います。
さすがプロマジシャン、底力を感じますが、これを「あなた」が演じる場合、その演技力までは、カタヤマ先生が代行してくれるわけではありません。
先生の演技は「参考」にはなりますが、最終的には「あなた」の演技力が必要となります。
ご自身の演技力を高める「チャンス」と捉えて、ぜひ挑戦してみてください。
それがきちんと達成できた時の喜びは、またひとしおだと思います。
実力さえあれば、ことさらに奇をてらったような演出に頼らなくても、マジックをきちんと見せるだけで、十分観客はついてきてくれる…
そのことが、大きな自信へとつながります。
また、この辺りの話は、テーマを絞り込むことの良し悪しとも絡んできますが。
絞った方がコンセプトは明確ですので、コンテストなどでは絞るのが常套手段です。
さらに言えば、シンブルだけで5分、というのは、絞り込まれた世界に没頭させ、のめり込ませ、ある種のトランス状態に導く、マニピュレーション独特の魅力に通じる部分でもあります。
残念ながら、この部分はおそらく、実際のライブをナマで体感していただかないと、
映像からでは分からないでしょうが、これが、ナマモノであるステージの魔力の一端です。
その世界の入り口に、いま、立っているのです。
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今回、1つの特徴として、シンブルの手順には不可欠な「シンブルホルダー」に関して、極めて「具体的」な解説をしています。
正確に言いますと、「テーブルに付けるホルダー」「身体に付けるホルダー」、2種類のホルダーに関して、カタヤマ氏自らが工夫を凝らして、オリジナルの形式と、
その「工作法」を考案・開発。
身近な素材を使って安価にできる、出来栄えもしっかりしていて安定して使える、など実用的な「方式」「作り方」を詳細に解説しています。
シンブルを解説した資料DVDなど、過去にいろいろ出てはいますが、ここまで詳しく
ホルダーの作り方を説明したケースは初めてで、まさに前代未聞・空前絶後の内容と言えます。
とても重要なものなのに、「こんな感じのものを工夫して作ってください」などと流されてしまう
不親切な解説が多い中、カタヤマ氏がついに立ち上がったのです。
たとえば「身体に付けるホルダー」は、従来ホルダー自体も台紙にゴムを「縫い付ける」など面倒な形が多かったのですが、今回解説された作り方には縫い付け作業はありません。
部品も使用済みのトランプなどを使って作りながら、それでいてしっかりしていて
使いやすく見栄えも良い、素晴らしいホルダーができ上がります。
「見栄え」というのは、もちろん人に見せるわけではありません。
逆に、万一ちらっと見えてしまった時に、あまり目立たない、という点が重要。
特にステージ衣装でなく普通のジャケットで演じている方は、外し忘れていた場合など、日常で人に見られる危険もあるので、なおさら注意が必要です。
工作過程は、パッと見には複雑そうに見えるかもしれませんが、実際に試してみると、大した面倒はありません。
本当に、ちょっとした工作です。
作り方を詳しく、映像でご紹介しておりますので、ぜひ、実際に道具や材料を用意して作ってみてください。
「テーブルに付けるホルダー」も、予想外のものを有効活用されていました。
面白いですよ。
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今回ももちろんライナーノーツ付きです。
補足情報などもたっぷりと詰まっていて、映像と補完し合う内容となっています。
目次代わりのガイドにもなると思います。
DVDをご覧になる際に、ぜひお供としてご活用ください。
DVDの方では、シリーズ企画、「ステージマジック基礎講座」のコーナーが大好評。
今回は、くしくも「ルーティーンの組み方」を取り上げています。
ルーティーンと言うと、広い意味では、いくつかのマジックを続けて演じる場合の構成、ショーのプログラムを指す場合もありますが、今回は、狭い意味のルーティーン、つまり、「作品レベル」のルーティーンについて説明しています。
個別の技法やトリック要素を組み合わせて、一つのマジックを構成する。
それがこの意味のルーティーンです。
個別作品の「中」の構成、ということですね。
(どこまでが1つの「作品」か、という点では、多少議論の余地がありますが)
今回のシンブルのように、あるいは連続的に現象を見せるコインマジックなどもそうですが、基本的にマニピュレーション的なマジックは、技法の組み合わせでユニットを組んで流れを作っていきます。
それゆえ、このルーティーンの概念・考え方が重要となってきます。
今回も、アシスタントの眠都(ミント)さんとともに、楽しく学んでいきましょう。
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第10巻:本格スライハンド シンブル編
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■シンブルマジックについて
はじめに、基本情報やシンブルマジックの特徴・特性などについて簡単に。
●ステップ1 基本技法
この段では、最もベーシックとなるテクニックを中心に解説し、それを使って演じられる手順を学びます。
本式のシンブルを使わなくても、手軽に演じられる手順でもあります。
■シンブルのパーム
(サムパーム・フィンガーホールド・フィンガーパーム・その他のパーム)
■基本の消失・出現1
■基本の消失・出現2
■両手のあらため
【練習手順1】1本シンブルの手順
1本シンブルの扱いに、効果的なエンディングを付加。
●ステップ2 基本技法の応用
この段では、ステップ1の技法を応用的に使うバリエーションや発展形を学びます。
手順としては、ハンカチを効果的に使用した流れとなります。
■リテンション効果の消失法
■親指でのパス
■ハンカチの中での消失・出現
■ハンカチを貫通するシンブル
【練習手順2】ハンカチとシンブルの手順
ハンカチとシンブルを絡め、貫通現象なども含めたユニークな手順。
最終的に片手4本が出現します(3本シンブルを分割するなど、やや高度なテクニックが入ってきます)。
●ステップ3 カラーシンブル
この段では、シンブルの変色現象をメインに扱います。カラフルで、ビジュアルです。
■逆手での消失法
■カラーチェンジ1
■カラーチェンジ2
【練習手順3】色変わりシンブルの手順
5色のシンブルを駆使したカラーチェンジルーティーン。
シンブルを各指に移行させていくテクニックなども学びます。
●ステップ4 複数シンブルの取り扱い
この段では、いよいよシンブルマジックの白眉たる分裂・増加から移動現象の手順を学びます。
■シンブルのエクスチェンジ
■飛行するシンブル
■4本の再出現
【練習手順4】4本シンブルの手順
4本の同色シンブルを使った、練習手順としては最も本格的なルーティーンです。
捨てても現れるパートは、引っかかる人も多いはず。
●ステップ5 ホルダーとその応用
ホルダーと、それを使ったスチールなどの技法を学びます。
これがないと、複数の手順を、うまく繋げて演じることはできません。
■ホルダーについて
■テーブルに付けるホルダー
(材料・作り方・使い方)
■身体に付けるホルダー
(材料・作り方・使い方)
【参考手順】ステージ用・シンブルの参考手順
「4つの練習手順」を組み合わせ再構成して「5分の手順」を演じています。
そのための変更点など、方法もきちんと解説しています。
■補足
さらなる学びのための情報紹介。
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■【ステージマジック基礎講座10】 ルーティーンの組み方
ルーティーンを作る上での考え方を紹介しています。
効果的なルーティーンのセオリーとは?
皆さんなりの手順を組むのに役立つでしょう。
この講座で過去に解説した手順の例なども引いて、具体的に分かりやすく説明。
今回も、重要な情報が楽しく学べます。お楽しみに。
聞き手:眠都(ミント)
シンブルマジックは、用具としては小粒です。
しかしながら、両手間での飛行現象などは、全身の動きを使って表現します。
すなわち、マジックとしては決して小さくはありません。
むしろ、ミニマムな用具で大きく見せるという点では、最大限に効率の良いマジックと言えるかもしれません。
単体で扱うときの、一点集中的なフォーカス感から、動態的な現象へと展開していく「落差」、この「静から動へ」の変遷ともいえる「転換」の妙が、シンブルの劇場的特性でもあります。
最終的には、シンブルは点として認識され、その点の明滅によって移動が表現されます。
いわゆる「ネオンサインの原理」を最も効果的に体現しているマジックなのです。
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カタヤマ氏の演技は、そのキレのあるシンブルという演目に、さらにコクを加えている感があります。
伝統的なクラシックスタイルをベースに、独特の雰囲気、間を持った、味わいのある世界を構築しています。
学生マジックなどでは、テクニック一辺倒のシンブルを見せられることが多いのですが、カタヤマ氏のシンブルは、一味違います。
いい味、出してます。
円熟のシンブル…ぜひ、一度はご賞味いただきたいテイストです。
カタヤマ氏は、実は既に、シンブルに関するDVDを1巻出されていますが、
今回は、それと内容がかぶらないようにも意識されて作られたそうです。
(かぶらないように「できる」ところがまた凄いのですが)
そちらを既にご覧の方も、本作をご覧になって損はない内容となっておりますし、
逆に、本作をご覧になってから、さらに学びを深めたい方はそちらをご覧になっても良いでしょう。
■商品内容・・・DVD
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