代表的ジャンル「ロープ切り」をはじめとする傑作選・手順集!
ロープからの「脱出イリュージョン」まで含む必見の内容です!
カズ・カタヤマ氏による「ステージ・サロンマジック入門講座」第9巻。
「本格ロープマジック編」です。
おっと、ロープマジックにあまり興味がない方も、ここでやめてはいけません!
詳しくは後述しますが、今回は「手軽にできる脱出イリュージョン」を含む内容となっていますので、大きな舞台で大きなネタを演じる機会や必要がある方には、必見となっております。
この内容は、いわゆる「ロープマジック」というイメージを超えるものですので、最初にここで特筆しておきます。
それではいざ「本格ロープマジック編」、詳しくご紹介いたしましょう。
ロープマジックに関しても、前回のシルクマジック同様に、既にこの基礎講座の中でいろいろと取り上げてきました。
第1巻の中でも「伸びるロープ」や「大きくなるロープの輪」を取り上げましたし、
第5巻「ロープ入門・結び目編」でも、たった1本のロープで行える効果的なマジックを多数ご紹介しました。
今回は応用編として、さらに多くの作品をご紹介していきます。
ロープマジックの世界に、より深く浸っていただきましょう。
なお、ロープマジックと一口に言っても、様々なイメージをお持ちの方がいらっしゃると思います。
あまり、きちんとした定義はありません。
ロープをメインの用具として使うマジック、くらいの広い意味で捉えてください。
今回は3つのパートからなる構成です。
「1本ロープの貫通編」・「おばあさんの首飾り編」・「ロープ切り編」。
表題だけでは分からないものもあると思いますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
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まずは「1本ロープの貫通」編。
ロープで「貫通現象」と言っても、ロープ同士の貫通、ロープとシルクの貫通、ロープとリングの貫通など、マジックとしては様々あり得るわけですが、今回、この項で取り上げたのは、「マジシャンや観客の身体の一部を使って、そこを(そこから)ロープが抜ける」というパターンのもの。
紹介した5作品のうち、最後の1種だけは「シルクも」使いますが、それ以外は、使う「もの」はロープだけです。
しかも、1つの「こだわり」としては、この5作品は全く同一の「1本のロープ」で行い、続けて演じることもできるのです。
第5巻でもこだわった「1本のロープ」の精神が、ここでも生きています。
最初は「指を抜けるロープ」、通称「指ぬき」から始まります。
観客の指にロープを何重にもかけますが、するっとエスケープしてしまいます。
この手のネタは、タネを知ってしまうとパズリックに思えてあまり好きでない方もいらっしゃるのですが、スムーズに行うと、案外不思議に見えるもの。
実際に演じてみると、予想外に驚かれたりするので、なかなか侮れません。
観客自身の指を抜けるわけですから体感的であり、印象が強いようです。
軽いネタであり、トークを交えた演技の「つかみ」に演じると良いでしょう。
さらに、観客の腕を抜ける、マジシャンの腕や首を抜けるなどに進みます。
全て異なる原理・方法のアイデアを紹介しています。
そしてこの項の最後では、「手を抜けるロープとハンカチ」という大傑作を収録しています。
これは、手にロープを巻きつけ、さらにシルクを通して絡めますが、端を束ねて引くと、まず手からロープが外れます。
さらに、ロープの両端を持って一直線に引っ張ると、ロープに絡んでいるシルクがはらりと外れて落ちるのです。
2段階の現象が1つの流れで連続して起こる、大変美しい貫通現象のマジックです。
この作品をご存知でない方は、これ1つで、十分このDVDの元が取れます。
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続いて、「おばあさんの首飾り」編。
これは、知らない方にとってはタイトルからして奇妙に思えるかも知れませんが、
「おばあさんの首飾り(グランドマザーズ・ネックレス)」という名の有名なマジックがあり、そこで使われている原理を特集したものです。
この原理、日本では「神田祭」という演出も有名です。
よく知られているベーシックな形ですと、2本の長いロープの中央にウォンドなど棒状のものを結びつけ、さらにその両側にリングを通したり、シルクを結んだりします。
そしてさらに厳重に縛り上げてしまうのですが、通したリング、結んだシルクなどが一瞬にしてロープからエスケープしてしまう、というものです。
例えばリング状のものなら何でも使えますので、腕時計やマグカップ、ヤカン、ハサミ、上着(ジャケット)、ハンガーなど様々なものを何でもかんでも、じゃんじゃんロープに通してぶら下げて、そこから抜いてみせる、という演技が可能です。
今回、このジャンルを徹底的に研究いたしましょう。
根本原理から始まり、トリック的なタネの扱いの原理を3種、そのそれぞれに応用の演出を各3種。
3×3で、合計9個の作品を解説しています。
3つの異なる方法論。
まず1番目には、原案と思われる、ウォンド等を使わずロープにちょっとした細工をしておく方法。
続いて2番目に、ウォンド等を使う方法。
そして3番目、最後に、ウォンドを使わず、またロープにも事前準備をせずに、テクニックのみで行う方法。
この3種類を解説いたします。
これらは長所・短所がそれぞれ裏腹で存在しますので、すべてを研究して、総ざらいでマスターしておくほうがいろいろと役立ちます。
そしてまたこれが、演出面で様々に使える便利なアイデアなのです。
基本的には、2本のロープに/ロープで縛り付けた「もの」がロープを貫通して脱出するのですが、その「もの」が、シルク・リングといったものから、「人間の胴体」まで使うことができるのです。
2本の長めのロープを使って、それを舞台上に張り渡す形となりますから、サロンマジックとしても見栄えよく、ましてや人体の貫通となると、これはもうステージ・イリュージョンの規模となります。
大魔術です。
たとえばイリュージョン的な演出の一法として、2人の胴体を縛り上げるのですが一瞬で貫通しエスケープするマジックを解説しています。
これは、左右でロープを引っ張ってもらう人2名、真ん中で縛られる人2名、合計4人をマジシャン以外に舞台に登場させられますから、それだけでも、かなり大掛かりなマジックの印象です。
ちなみにこの4人は、その場にいる観客に出てきてもらって行うことができます。
当然ながら、誰もサクラではありません。
演技をスムーズに見せるためにマジシャンのアシスタントを使ってももちろん良いのですが、必ずしもそうである必要はありません。
ですから「1P」の営業など、マジシャン1人態勢でも十分演じられるわけです。
どうでしょう?
イリュージョンボックスなどの特殊な用具を一切使わずに演じられる、コンパクトサイズのエスケープ・イリュージョン。
使うものは、数メートルの長さのロープ2本、ほぼそれだけですから、道具の持ち歩きもさほどかさばりません。
自然な用具のみ、しかも安価です!
また、比較的簡単に演じられ、角度にも弱くはないので、結構いろいろな場所で活用できます。
なかなかこんなネタはありませんよ?
地域の祭であるとか、学校でも全校レベルのイベントなど、結構なスケールの場所でマジックを演じる機会に、
「日頃のレパートリーではちょっと見えづらいなぁ」というケースはよくあります。
数百人レベルの観客を前にした場所でのマジックを依頼されても、観客や依頼者の期待に応えられるかどうか、と悩んだときには、ぜひ、こちらを思い出してください…きっと力になれると思います。
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ここまでは基本的に「貫通現象」がメインとなりますが、最後のテーマは「ロープ切り」。
復活現象となります。
1本のロープをハサミで2つにカットしてしまいますが、それがまた見事に1本に繋がる、というエフェクトです。
これは、まさにロープマジックの王道中の王道、本命中の本命といえる主要な現象プロット。
例えば東京堂出版から出ている入門シリーズ「ロープマジック」(高木重朗・著)では、全体の半分ほどの分量(ページ数)が「ロープ切りマジック集」と「ロープ切り手順集」の章に宛てられているほどです。
この重要テーマ、「本格ロープマジック編」からは外せません。
基本となる方法、3種類の「切り方」と、復活のさせ方、これらを詳しく紹介。
さらに、「8の字切り」や「輪にしたロープ切り」などの変法も紹介いたします。
使用するハサミについてなど、基盤的な情報も、もちろん盛り込んでおります。
ちなみに、マジシャンはなぜロープを切って復活させるのか…
自分で勝手に切っておいて自分で元に戻すのでは、完全に「マッチポンプ」であり、理由がないのではないか、という意見があります。
なかなか哲学的ですね?「そもそも論」に立ち返った根源的な疑問といえます。
もちろん、そんなこと考えずに、普通に切って普通に復活させただけで、観客は不思議がり、マジックとしては十分成立していますから、問題はありません。
特に理由は要らないのです。「そこにロープがあるから」でも、何でもいいんです。
ただ、1つ言えるのは、復活現象というのは神秘性があります。
現象として、強いのです。
少し、説明が必要かもしれません。
当然ながら、ロープを「切る」ところはマジックの現象ではありません。
切った「2本のロープ」が1本に繋がるところが、現象です。
ですから(トリック的な都合がなければ)2本のロープを出すところから始めればいいという人もいます。
「切る」パートは単なる手続きに過ぎないという判断です。
しかし、個人的には、これは違うと思います。
「2本が繋がって長い1本になる」というエフェクトと、「切ったロープが元通りに繋がる」というエフェクトは、明らかにエフェクトとしてのテイストも、クォリティも異なります。
もちろん、「当初の状態」を見せているために、現象が分かりやすい、イメージしやすいという「物理的」な効能もあります。
ですが、それ以上に「心理的」な効果が大きいのです。
ものを切断する、破壊するという行為が、まず印象的で、心に刺さります。
「もったいない」と感じる人も入るでしょう(感覚刺激)。
そして、それを「復元させる」というのは「ヒーリング」、傷口を癒すことを隠喩・暗示します。
「蘇生」「再生の魔法」であり、「神秘性」を伴うのは、恐らくこれが理由でしょう。
元に戻った、という概念・解釈・意味づけ。
これは、当然ですが、最初から2本を出してきたのでは生じません。
また、「切れたものを見せる」のと「切ってみせる」というのは、インパクトが明らかに違います。
切るところから始めることが重要なのです。
そして、「ロープ切り」マジックの場合は、実はその動作の中でトリックを仕掛けられるので、
これは、非常に良くできたシナリオなのです。
「ロープ切り」トリックが名作であり、定番として演じ続けられているのは…
当然ながら、これが大変優れたマジックだからです。
皆さんも、是非レパートリーに取り入れていただきたいと思います。
なお、ボーナストリックとして「完全なロープ切り」と題するマジックを収録しています。
これは、何と言うか…
「完全」なんです。
極めて不思議なロープ切りです…
現象を見て、ビックリしてください。
実は、前巻までに登場した「ある原理」を使用しているので、そちらも再度振り返り、遡って確認しながら、
ご理解いただければと思います(そのため、ボーナス扱いとしております)。
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さて、今回もありますよ。
「ステージマジック基礎講座」のコーナー。
今回は「視線の使い方」です。
目は口ほどにものを言い、とはよく言ったものです。
日常でも、目を見れば、相手が何を考えているか分かることがあるわけです。
あるいは、視線の動きが変だと挙動不審と疑われたりします。
では、マジックの世界ではどうなのでしょう?
演技中に視線をどこに置けばいいか、また、どんな目的で、何を考えてどう動かせばよいのでしょうか。
本や解説DVD等は基本的にトリックの解説がメインなので、なかなか視線まで仔細には教えてくれません。
そこでこの基礎講座ですよ!
いつものように楽しく、かつ深く解説していただきます。
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第9巻:本格ロープマジック編
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■はじめに
ロープマジックの特徴を語り、今回の巻の構成などを概観します。
●1本ロープの貫通編
■指を抜けるロープ
演技の「つかみ」に軽く演じられる「指ぬき」です。
■腕を抜けるロープ1
■腕を抜けるロープ2
観客の腕にかけたロープが、貫通して抜け出したり。
マジシャンの手首に絡めたロープが、するっと抜けてしまったり。
■首を抜けるロープ(天海)
首にロープをマフラーのように2重に巻きますが、引っ張ると外れてしまいます。
今回は、ロープの「ループ」で行っています(ループでもできるんですね)。
■手を抜けるロープとハンカチ(天海/ヘンリー・ホロヴァ)
上述した、手とシルクとロープが複雑に絡み合って起こる2段階現象。
演じていてとても楽しいトリックです。
●おばあさんの首飾り編
■基本原理
まずは原理を理解してください。
■2人の脱出
2人の観客の胴体にロープを巻きつけて縛りますが、エスケープしてしまいます。
■ロープからの脱出
「観客の身体を縛って抜ける」系の、より簡易型。
両手にリングを持たせてロープを通したり、見た目が凝っています。
■上着の脱出
ロープを上着の袖に通した状態でそのまま服を着て、さらに縛ってしまいますが…
フーディーニの「拘束衣からの脱出」をも思わせる貫通・脱出現象。
■コーズ・オブ・ファンタジア(オトカー・フィッシャー)
ウォンドを使い、シルクを結び付けて演じる、サロンマジックとしての定番的見せ方。
■リングの貫通
リングを抜くのも一般的な商品として販売されていたりしたので、有名ですが、
ここでは2色のリングを使って観客に色を選択させ、そちらだけに現象が起こる、
という「ひねり」を入れています。
■ペーパーバッグ・ファンタジー(ハンス・バン・バーレン/カズ・カタヤマ)
紙袋を効果的に使って、見た目としてもユニークに仕上げられた合理的手順。
■おばあさんのハンカチーフ(ハロルド・ライス/カズ・カタヤマ)
何の準備もなく、仕掛けのない道具だけで演じられる実用的な作品です。
基本となるテクニックを、ここでしっかりとマスターしましょう。
■シルクの脱出(巣凝ってぃー・ラング)
3枚のシルクをロープに結び付けますが、見事に貫通して抜け出します。
ステージ・サロンマジックとして、音楽にのせながら1人で演じる見せ方を紹介。
■身体を貫通するロープ
マジシャンの胴体をローで縛りますが、貫通して通り抜けてしまいます。
こちらも1人で演じられます。
●ロープ切り編
■基本のロープ切り1
■基本のロープ切り2
■基本のロープ切り3(ボブ・エリス)
ロープ切りマジックに使われる主要な原理、基本的な方法を手順として解説。
やり方1と2は、いずれも基礎として押さえておくべき方法です。
また、続けて演じることによってさらに効果を増します。
やり方3は、はさみを使って「タネを作る」方法です。
また、それぞれの「復活のさせ方」にも注目してください。
これらの方法は、いろいろと組み替えたりすることも可能です。
■8の字切り
ロープの輪を2重にして、一箇所で2本とも切断します。
明らかに2本の同じ長さのロープが出来上がりますが、それが復活します。
■輪にしたロープ切り(エディ・ジョセフ)
数箇所の結び目が一気にはじけ飛んで復活する、豪快な見た目が特長。
■完全なロープ切り(ボーナストリック)
ロープ切りの理想形を追求したら、恐らくこうなるであろうという形。
それを見事に実現して見せてくれます。
解説もしております。
━…━…━…━…━…━…━…━…
■【ステージマジック基礎講座9】 視線の使い方
マジックを演じる上で重要な、視線の使い方を学びます。
クロースアップマジシャンでたまにいるのですが、ずっと下を向いていて
観客と一切目を合わせない人がいます。
自分の手元の演技を、自分で目で追って、確認してしまうわけですね。
良くないのですが、本人は客観的に見られないので結構気づかないもの。
もちろんアマチュアの余技であれば、そんなに目くじらを立てる必要はありませんが、ステージに立つとなると、話は別。
きちんと「演技をする」ことの基本の1つが、この視線の使い方です。
初心者の方は演技の経験などないわけですから、舞台上での「人工的な」所作として視線、どの段階で、どこを見ていればいいのか、どこに視線をやればいいのか、というのは冷静に考えたら、そもそもよく分からないのではありませんか?
結構なベテランの方でも、あまり考えずに、なんとなくこなしている方も多いでしょう。
観客と「アイコンタクト」を取る、これは、クロースアップなら日常の所作の延長ですが、ステージでは、特別に意識して行わないとなりません。
また、現象をきちんと見せて、しっかりとアピールを取り、拍手をもらう、など演技・表現という観点でも、視線の使い方というのは大変重要です。
マジックの場合はさらに 前々回・前回とこの基礎講座でも取り上げた「ミスディレクション」とも、視線は密接に絡んできますので、なおさら。
視線の研究は、トリック的にも必要なのです。
本講座で基本的な考え方を押さえて、常に自分の視線を意識するように心がけましょう。
さほどの面倒がいらない道具立てで手軽に行えるのがロープマジックの良いところです。
また、クロースアップ・サロン・ステージと、演じる場所を選ばずに使えます。
(特に今回はかなりの大舞台でも見せやすいマジックも取り上げております。)
実用的なロープマジック作品集。
傑作が詰まっていますので、ぜひマスターして、皆さんのレパートリーとして存分にご活用ください。
■商品内容・・・DVD
「本格ロープマジック編」です。
おっと、ロープマジックにあまり興味がない方も、ここでやめてはいけません!
詳しくは後述しますが、今回は「手軽にできる脱出イリュージョン」を含む内容となっていますので、大きな舞台で大きなネタを演じる機会や必要がある方には、必見となっております。
この内容は、いわゆる「ロープマジック」というイメージを超えるものですので、最初にここで特筆しておきます。
それではいざ「本格ロープマジック編」、詳しくご紹介いたしましょう。
ロープマジックに関しても、前回のシルクマジック同様に、既にこの基礎講座の中でいろいろと取り上げてきました。
第1巻の中でも「伸びるロープ」や「大きくなるロープの輪」を取り上げましたし、
第5巻「ロープ入門・結び目編」でも、たった1本のロープで行える効果的なマジックを多数ご紹介しました。
今回は応用編として、さらに多くの作品をご紹介していきます。
ロープマジックの世界に、より深く浸っていただきましょう。
なお、ロープマジックと一口に言っても、様々なイメージをお持ちの方がいらっしゃると思います。
あまり、きちんとした定義はありません。
ロープをメインの用具として使うマジック、くらいの広い意味で捉えてください。
今回は3つのパートからなる構成です。
「1本ロープの貫通編」・「おばあさんの首飾り編」・「ロープ切り編」。
表題だけでは分からないものもあると思いますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
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まずは「1本ロープの貫通」編。
ロープで「貫通現象」と言っても、ロープ同士の貫通、ロープとシルクの貫通、ロープとリングの貫通など、マジックとしては様々あり得るわけですが、今回、この項で取り上げたのは、「マジシャンや観客の身体の一部を使って、そこを(そこから)ロープが抜ける」というパターンのもの。
紹介した5作品のうち、最後の1種だけは「シルクも」使いますが、それ以外は、使う「もの」はロープだけです。
しかも、1つの「こだわり」としては、この5作品は全く同一の「1本のロープ」で行い、続けて演じることもできるのです。
第5巻でもこだわった「1本のロープ」の精神が、ここでも生きています。
最初は「指を抜けるロープ」、通称「指ぬき」から始まります。
観客の指にロープを何重にもかけますが、するっとエスケープしてしまいます。
この手のネタは、タネを知ってしまうとパズリックに思えてあまり好きでない方もいらっしゃるのですが、スムーズに行うと、案外不思議に見えるもの。
実際に演じてみると、予想外に驚かれたりするので、なかなか侮れません。
観客自身の指を抜けるわけですから体感的であり、印象が強いようです。
軽いネタであり、トークを交えた演技の「つかみ」に演じると良いでしょう。
さらに、観客の腕を抜ける、マジシャンの腕や首を抜けるなどに進みます。
全て異なる原理・方法のアイデアを紹介しています。
そしてこの項の最後では、「手を抜けるロープとハンカチ」という大傑作を収録しています。
これは、手にロープを巻きつけ、さらにシルクを通して絡めますが、端を束ねて引くと、まず手からロープが外れます。
さらに、ロープの両端を持って一直線に引っ張ると、ロープに絡んでいるシルクがはらりと外れて落ちるのです。
2段階の現象が1つの流れで連続して起こる、大変美しい貫通現象のマジックです。
この作品をご存知でない方は、これ1つで、十分このDVDの元が取れます。
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続いて、「おばあさんの首飾り」編。
これは、知らない方にとってはタイトルからして奇妙に思えるかも知れませんが、
「おばあさんの首飾り(グランドマザーズ・ネックレス)」という名の有名なマジックがあり、そこで使われている原理を特集したものです。
この原理、日本では「神田祭」という演出も有名です。
よく知られているベーシックな形ですと、2本の長いロープの中央にウォンドなど棒状のものを結びつけ、さらにその両側にリングを通したり、シルクを結んだりします。
そしてさらに厳重に縛り上げてしまうのですが、通したリング、結んだシルクなどが一瞬にしてロープからエスケープしてしまう、というものです。
例えばリング状のものなら何でも使えますので、腕時計やマグカップ、ヤカン、ハサミ、上着(ジャケット)、ハンガーなど様々なものを何でもかんでも、じゃんじゃんロープに通してぶら下げて、そこから抜いてみせる、という演技が可能です。
今回、このジャンルを徹底的に研究いたしましょう。
根本原理から始まり、トリック的なタネの扱いの原理を3種、そのそれぞれに応用の演出を各3種。
3×3で、合計9個の作品を解説しています。
3つの異なる方法論。
まず1番目には、原案と思われる、ウォンド等を使わずロープにちょっとした細工をしておく方法。
続いて2番目に、ウォンド等を使う方法。
そして3番目、最後に、ウォンドを使わず、またロープにも事前準備をせずに、テクニックのみで行う方法。
この3種類を解説いたします。
これらは長所・短所がそれぞれ裏腹で存在しますので、すべてを研究して、総ざらいでマスターしておくほうがいろいろと役立ちます。
そしてまたこれが、演出面で様々に使える便利なアイデアなのです。
基本的には、2本のロープに/ロープで縛り付けた「もの」がロープを貫通して脱出するのですが、その「もの」が、シルク・リングといったものから、「人間の胴体」まで使うことができるのです。
2本の長めのロープを使って、それを舞台上に張り渡す形となりますから、サロンマジックとしても見栄えよく、ましてや人体の貫通となると、これはもうステージ・イリュージョンの規模となります。
大魔術です。
たとえばイリュージョン的な演出の一法として、2人の胴体を縛り上げるのですが一瞬で貫通しエスケープするマジックを解説しています。
これは、左右でロープを引っ張ってもらう人2名、真ん中で縛られる人2名、合計4人をマジシャン以外に舞台に登場させられますから、それだけでも、かなり大掛かりなマジックの印象です。
ちなみにこの4人は、その場にいる観客に出てきてもらって行うことができます。
当然ながら、誰もサクラではありません。
演技をスムーズに見せるためにマジシャンのアシスタントを使ってももちろん良いのですが、必ずしもそうである必要はありません。
ですから「1P」の営業など、マジシャン1人態勢でも十分演じられるわけです。
どうでしょう?
イリュージョンボックスなどの特殊な用具を一切使わずに演じられる、コンパクトサイズのエスケープ・イリュージョン。
使うものは、数メートルの長さのロープ2本、ほぼそれだけですから、道具の持ち歩きもさほどかさばりません。
自然な用具のみ、しかも安価です!
また、比較的簡単に演じられ、角度にも弱くはないので、結構いろいろな場所で活用できます。
なかなかこんなネタはありませんよ?
地域の祭であるとか、学校でも全校レベルのイベントなど、結構なスケールの場所でマジックを演じる機会に、
「日頃のレパートリーではちょっと見えづらいなぁ」というケースはよくあります。
数百人レベルの観客を前にした場所でのマジックを依頼されても、観客や依頼者の期待に応えられるかどうか、と悩んだときには、ぜひ、こちらを思い出してください…きっと力になれると思います。
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ここまでは基本的に「貫通現象」がメインとなりますが、最後のテーマは「ロープ切り」。
復活現象となります。
1本のロープをハサミで2つにカットしてしまいますが、それがまた見事に1本に繋がる、というエフェクトです。
これは、まさにロープマジックの王道中の王道、本命中の本命といえる主要な現象プロット。
例えば東京堂出版から出ている入門シリーズ「ロープマジック」(高木重朗・著)では、全体の半分ほどの分量(ページ数)が「ロープ切りマジック集」と「ロープ切り手順集」の章に宛てられているほどです。
この重要テーマ、「本格ロープマジック編」からは外せません。
基本となる方法、3種類の「切り方」と、復活のさせ方、これらを詳しく紹介。
さらに、「8の字切り」や「輪にしたロープ切り」などの変法も紹介いたします。
使用するハサミについてなど、基盤的な情報も、もちろん盛り込んでおります。
ちなみに、マジシャンはなぜロープを切って復活させるのか…
自分で勝手に切っておいて自分で元に戻すのでは、完全に「マッチポンプ」であり、理由がないのではないか、という意見があります。
なかなか哲学的ですね?「そもそも論」に立ち返った根源的な疑問といえます。
もちろん、そんなこと考えずに、普通に切って普通に復活させただけで、観客は不思議がり、マジックとしては十分成立していますから、問題はありません。
特に理由は要らないのです。「そこにロープがあるから」でも、何でもいいんです。
ただ、1つ言えるのは、復活現象というのは神秘性があります。
現象として、強いのです。
少し、説明が必要かもしれません。
当然ながら、ロープを「切る」ところはマジックの現象ではありません。
切った「2本のロープ」が1本に繋がるところが、現象です。
ですから(トリック的な都合がなければ)2本のロープを出すところから始めればいいという人もいます。
「切る」パートは単なる手続きに過ぎないという判断です。
しかし、個人的には、これは違うと思います。
「2本が繋がって長い1本になる」というエフェクトと、「切ったロープが元通りに繋がる」というエフェクトは、明らかにエフェクトとしてのテイストも、クォリティも異なります。
もちろん、「当初の状態」を見せているために、現象が分かりやすい、イメージしやすいという「物理的」な効能もあります。
ですが、それ以上に「心理的」な効果が大きいのです。
ものを切断する、破壊するという行為が、まず印象的で、心に刺さります。
「もったいない」と感じる人も入るでしょう(感覚刺激)。
そして、それを「復元させる」というのは「ヒーリング」、傷口を癒すことを隠喩・暗示します。
「蘇生」「再生の魔法」であり、「神秘性」を伴うのは、恐らくこれが理由でしょう。
元に戻った、という概念・解釈・意味づけ。
これは、当然ですが、最初から2本を出してきたのでは生じません。
また、「切れたものを見せる」のと「切ってみせる」というのは、インパクトが明らかに違います。
切るところから始めることが重要なのです。
そして、「ロープ切り」マジックの場合は、実はその動作の中でトリックを仕掛けられるので、
これは、非常に良くできたシナリオなのです。
「ロープ切り」トリックが名作であり、定番として演じ続けられているのは…
当然ながら、これが大変優れたマジックだからです。
皆さんも、是非レパートリーに取り入れていただきたいと思います。
なお、ボーナストリックとして「完全なロープ切り」と題するマジックを収録しています。
これは、何と言うか…
「完全」なんです。
極めて不思議なロープ切りです…
現象を見て、ビックリしてください。
実は、前巻までに登場した「ある原理」を使用しているので、そちらも再度振り返り、遡って確認しながら、
ご理解いただければと思います(そのため、ボーナス扱いとしております)。
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さて、今回もありますよ。
「ステージマジック基礎講座」のコーナー。
今回は「視線の使い方」です。
目は口ほどにものを言い、とはよく言ったものです。
日常でも、目を見れば、相手が何を考えているか分かることがあるわけです。
あるいは、視線の動きが変だと挙動不審と疑われたりします。
では、マジックの世界ではどうなのでしょう?
演技中に視線をどこに置けばいいか、また、どんな目的で、何を考えてどう動かせばよいのでしょうか。
本や解説DVD等は基本的にトリックの解説がメインなので、なかなか視線まで仔細には教えてくれません。
そこでこの基礎講座ですよ!
いつものように楽しく、かつ深く解説していただきます。
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第9巻:本格ロープマジック編
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■はじめに
ロープマジックの特徴を語り、今回の巻の構成などを概観します。
●1本ロープの貫通編
■指を抜けるロープ
演技の「つかみ」に軽く演じられる「指ぬき」です。
■腕を抜けるロープ1
■腕を抜けるロープ2
観客の腕にかけたロープが、貫通して抜け出したり。
マジシャンの手首に絡めたロープが、するっと抜けてしまったり。
■首を抜けるロープ(天海)
首にロープをマフラーのように2重に巻きますが、引っ張ると外れてしまいます。
今回は、ロープの「ループ」で行っています(ループでもできるんですね)。
■手を抜けるロープとハンカチ(天海/ヘンリー・ホロヴァ)
上述した、手とシルクとロープが複雑に絡み合って起こる2段階現象。
演じていてとても楽しいトリックです。
●おばあさんの首飾り編
■基本原理
まずは原理を理解してください。
■2人の脱出
2人の観客の胴体にロープを巻きつけて縛りますが、エスケープしてしまいます。
■ロープからの脱出
「観客の身体を縛って抜ける」系の、より簡易型。
両手にリングを持たせてロープを通したり、見た目が凝っています。
■上着の脱出
ロープを上着の袖に通した状態でそのまま服を着て、さらに縛ってしまいますが…
フーディーニの「拘束衣からの脱出」をも思わせる貫通・脱出現象。
■コーズ・オブ・ファンタジア(オトカー・フィッシャー)
ウォンドを使い、シルクを結び付けて演じる、サロンマジックとしての定番的見せ方。
■リングの貫通
リングを抜くのも一般的な商品として販売されていたりしたので、有名ですが、
ここでは2色のリングを使って観客に色を選択させ、そちらだけに現象が起こる、
という「ひねり」を入れています。
■ペーパーバッグ・ファンタジー(ハンス・バン・バーレン/カズ・カタヤマ)
紙袋を効果的に使って、見た目としてもユニークに仕上げられた合理的手順。
■おばあさんのハンカチーフ(ハロルド・ライス/カズ・カタヤマ)
何の準備もなく、仕掛けのない道具だけで演じられる実用的な作品です。
基本となるテクニックを、ここでしっかりとマスターしましょう。
■シルクの脱出(巣凝ってぃー・ラング)
3枚のシルクをロープに結び付けますが、見事に貫通して抜け出します。
ステージ・サロンマジックとして、音楽にのせながら1人で演じる見せ方を紹介。
■身体を貫通するロープ
マジシャンの胴体をローで縛りますが、貫通して通り抜けてしまいます。
こちらも1人で演じられます。
●ロープ切り編
■基本のロープ切り1
■基本のロープ切り2
■基本のロープ切り3(ボブ・エリス)
ロープ切りマジックに使われる主要な原理、基本的な方法を手順として解説。
やり方1と2は、いずれも基礎として押さえておくべき方法です。
また、続けて演じることによってさらに効果を増します。
やり方3は、はさみを使って「タネを作る」方法です。
また、それぞれの「復活のさせ方」にも注目してください。
これらの方法は、いろいろと組み替えたりすることも可能です。
■8の字切り
ロープの輪を2重にして、一箇所で2本とも切断します。
明らかに2本の同じ長さのロープが出来上がりますが、それが復活します。
■輪にしたロープ切り(エディ・ジョセフ)
数箇所の結び目が一気にはじけ飛んで復活する、豪快な見た目が特長。
■完全なロープ切り(ボーナストリック)
ロープ切りの理想形を追求したら、恐らくこうなるであろうという形。
それを見事に実現して見せてくれます。
解説もしております。
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■【ステージマジック基礎講座9】 視線の使い方
マジックを演じる上で重要な、視線の使い方を学びます。
クロースアップマジシャンでたまにいるのですが、ずっと下を向いていて
観客と一切目を合わせない人がいます。
自分の手元の演技を、自分で目で追って、確認してしまうわけですね。
良くないのですが、本人は客観的に見られないので結構気づかないもの。
もちろんアマチュアの余技であれば、そんなに目くじらを立てる必要はありませんが、ステージに立つとなると、話は別。
きちんと「演技をする」ことの基本の1つが、この視線の使い方です。
初心者の方は演技の経験などないわけですから、舞台上での「人工的な」所作として視線、どの段階で、どこを見ていればいいのか、どこに視線をやればいいのか、というのは冷静に考えたら、そもそもよく分からないのではありませんか?
結構なベテランの方でも、あまり考えずに、なんとなくこなしている方も多いでしょう。
観客と「アイコンタクト」を取る、これは、クロースアップなら日常の所作の延長ですが、ステージでは、特別に意識して行わないとなりません。
また、現象をきちんと見せて、しっかりとアピールを取り、拍手をもらう、など演技・表現という観点でも、視線の使い方というのは大変重要です。
マジックの場合はさらに 前々回・前回とこの基礎講座でも取り上げた「ミスディレクション」とも、視線は密接に絡んできますので、なおさら。
視線の研究は、トリック的にも必要なのです。
本講座で基本的な考え方を押さえて、常に自分の視線を意識するように心がけましょう。
さほどの面倒がいらない道具立てで手軽に行えるのがロープマジックの良いところです。
また、クロースアップ・サロン・ステージと、演じる場所を選ばずに使えます。
(特に今回はかなりの大舞台でも見せやすいマジックも取り上げております。)
実用的なロープマジック作品集。
傑作が詰まっていますので、ぜひマスターして、皆さんのレパートリーとして存分にご活用ください。
■商品内容・・・DVD
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